要点
- SonicWall のファイアウォール管理ソフト GMS に、ログインしなくても中のファイルを読める欠陥が見つかった。サポートが終わった製品なので、修正は出ない。
- Cisco の UCS Central と、WatchGuard の AuthPoint Authentication Gateway にも欠陥があり、こちらは修正版が出ている。
- いま悪用は確かめられていない。ただ GMS は直らないので、使い続けるかぎり危なさは残る。
何が起きたか
2026年11月3日〜4日(米国時間)に、三つの会社がそれぞれ欠陥を発表した。
SonicWall GMS(直らない) GMS(Global Management System)は、たくさんの SonicWall のファイアウォールをまとめて管理するソフトである。SonicWall は11月3日に、GMS 9.5.2 以前の欠陥を二つ公表した。
- 一つめ(CVE-2026-109593)は、ネットワークから届けば、ログインしていない攻撃者でも GMS の中のファイルを読めるおそれがあるもの。CISA(米国のサイバー防衛の役所)の評価は、10点満点で9.1の「緊急」である。
- 二つめ(CVE-2026-109594)は、ログインした攻撃者が、条件によっては GMS のデータベースの中身を見たり書き換えたりできるもの。こちらは6.8の「中」である。
SonicWall の記録には「End-of-Life(提供終了)」の製品と書かれている。SecurityWeek の報道によると、SonicWall はどちらも修正しないとしている。見つけたのは Pentest-Tools.com の研究者である。
SonicWall の FAQ によると、GMS の販売は2025年10月1日に終わり、サポートは2026年9月30日に終わった。サポートが終わったあとは、更新は一切出ない。
Cisco UCS Central(修正あり) Cisco は11月4日に、UCS Central の管理画面の欠陥(CVE-2026-76506、重大度「高」)を公表した。ログインできる攻撃者が、好きな命令を実行したり、ファイルを書き込んだり、大事な情報を盗んだりできるおそれがある。設定に関係なく、すべての UCS Central が当たる。回避する設定はなく、更新するしかない。
WatchGuard(一部は修正あり) WatchGuard は AuthPoint Authentication Gateway に四つの欠陥を公表した。欠陥は、認証の結果を偽れるもの、通信を途中で盗み見されるおそれがあるもの、管理の操作をくり返し送られるもの、止められるものである。修正版はすでに出ている。
もう一つ、Linux の中心部分(カーネル)の欠陥(CVE-2026-98432、9.8)について、WatchGuard は自社の製品への影響を説明した。Fireware OS(ファイアウォールの OS)と WatchGuard AP(無線の親機)は、出回っている攻撃の手口には当たらないとしている。管理ソフトの Dimension については、当たる版の Ubuntu を使っているが、MPTCP(通信の仕組みの一つ)は有効にしていないと説明している。修正は、Ubuntu の修正が出たら案内するとしている。
Cisco と WatchGuard は、いま実際に悪用された例は把握していないとしている。SonicWall の欠陥についても、CISA の評価では悪用は確かめられていない(Exploitation: none)。
日本の利用者への影響
SonicWall、WatchGuard、Cisco のこれらの製品が日本でどれだけ使われているかは、今回の資料からは分からない。日本で GMS を使い続けている組織がどれだけあるかも分からない。
今すぐやること
- 社内やネットワークを任せている業者に、SonicWall GMS を使っていないか確かめる。ファイアウォールの管理を外に任せている場合は、業者が使っていることもある。
- GMS を使っているなら、後継の NSM(Network Security Manager)への乗り換えを急ぐ。SonicWall は NSM を後継としている。
- 乗り換えるまでのあいだは、GMS をインターネットから見えない場所に置き、社内でも使う人だけが届くように絞る。直らない欠陥への守りは、届かせないことしかない。
- WatchGuard AuthPoint Authentication Gateway を使っているなら、7.6.0 以降に更新する。
- Cisco UCS Central を使っているなら、Cisco が勧める修正版に更新する。
背景
ファイアウォールや VPN などの「入口」の機器や、その管理ソフトは、攻撃者によくねらわれる。一つ破られると、管理している機器がまとめて危なくなるからである。
サポートが終わった製品は、欠陥が見つかっても直らない。今回の GMS がそうなったように、見つかった欠陥はそのまま残る。SonicWall も FAQ で、サポートのないソフトを使い続けることは安全面のリスクになると書いている。管理者は、自分の使う製品のサポートがいつ終わるかを、日ごろから確かめておく必要がある。
技術者向けの詳細
SonicWall GMS(SNWLID-2026-0019、2026-11-03 公開)
- 対象: GMS 9.5.2 以前(Windows/Linux)
- CVE-2026-109593: 認証不要のファイル読み取り。CWE-636。CVSS 3.1 9.1(CISA ADP の評価、
AV:N/AC:L/PR:N/UI:N) - CVE-2026-109594: 認証後の SQL インジェクション。CWE-89。CVSS 3.1 6.8(
PR:H/S:C) - 修正: なし。CVE の記録に
unsupported-when-assignedのタグ - KEV: 載っていない(11月5日時点)
- 乗り換え: NSM On-Prem へは GMS 9.4.4 の Transition Snapshot で設定・テナントを移せる。ログとレポートのデータは移らない。GMS の設定は NSM SaaS へは移せない。詳しくは GMS End of Life and NSM Transition FAQ
Cisco UCS Central(cisco-sa-cucs-rce-LzHSFRDQ、2026-11-04 公開)
- CVE-2026-76506、CWE-22(パストラバーサル)、CVSS 3.1 7.6、Bug ID CSCwv60193
- 有効な認証情報が必要
- 2.0 以前: 修正版へ移行
- 2.1: 最初の修正版は 2.1(2c)
- 回避策なし。悪用は把握されていない
WatchGuard AuthPoint Authentication Gateway(2026-11-04 公開)
- 対象: 1.0 以上 7.6.0 未満。修正: 7.6.0 以降
| CVE | 中身 | CVSS |
|---|---|---|
| CVE-2026-121639 | 認証なしでのサービス停止 | 9.2 |
| CVE-2026-121638 | 証明書の検証不備(通信の盗み見) | 9.1 |
| CVE-2026-121640 | 再送による管理操作 | 9.1 |
| CVE-2026-121637 | LDAP 認証の HMAC 検証不備(認証結果の偽造) | 8.9 |
WatchGuard WGSA-2026-0033(CVE-2026-98432、Linux カーネル IPv4 の use-after-free、CVSS 9.8)
- Fireware OS・WatchGuard AP: 当たるカーネルを積むが、MPTCP を有効にしておらず、出回る RCE の手口には当たらないと WatchGuard は説明
- Dimension 2.0 以上: 当たる Ubuntu を使うが、MPTCP は有効にしていないと WatchGuard は説明。修正は未定(Ubuntu の修正待ち)
- 詳しくは WatchGuard PSIRT



