情報被害の話ではない

Claude Code、既存ゲームの「再現」を断るように Opus 5.5 に指示を追加

Anthropic は、Claude Code で Opus 5.5 を使うときの指示に2文を足し、特定の既存ゲームの再現を避けるようにした。オリジナルやジャンルもののゲームは引き続き作れるとしている。個人開発や同人ゲームへの影響と著作権の考え方を整理する。

要点

  • Anthropic は、Claude Code で Opus 5.5 を使うときの指示に2文を足し、「特定の既存ゲームの再現」を避けるようにした。
  • オリジナルのゲームや、ジャンルとしてよくあるゲーム、自分で用意した設計や素材を使うゲームは、これまでどおり作れるとしている。
  • 自分の作品まで断られたという声も出ている。Anthropic は、線引きを今後も調整するとしている。

何が起きたか

AI にプログラムを書かせる道具の Claude Code で、既存のゲームをそっくり作り直す依頼が断られるようになった。

この変更を指摘したのは、X で Chasm と名乗る利用者である。2026年10月30日(日本時間の同じ日の夕方)に投稿したのは、Claude Code に加わったルールの文面だった。中身は、作ってよいものと作らないものを分けた2つの文である。

  • オリジナルのゲーム、ジャンルとしてのゲーム、利用者自身の設計と素材から作るゲームは作ってよい。
  • 特定の既存ゲームの再現は作らない。名前を変えても、「オリジナル」と称していても同じ。

Chasm 氏は、ルールが入った時期と出どころにも触れている。それによると、ルールは利用者の手元で決めたものではなく Anthropic 側から配られ、入ったのは10月27日ごろだという。利用者が自分で切る設定は無いとしている。

同じ日のうちに、Anthropic の技術スタッフである Addy Osmani 氏が X で変更を認めた(日本時間では10月31日の未明)。Osmani 氏の説明では、オリジナルのゲームは対象外だ。変更は、Opus 5.5 で動く Claude Code の指示に「two sentences」(2文)を加えたものだという。理由として挙げたのは、知的財産の侵害に Claude を使うことを禁じた利用規約である。自分の作品なのに断られた人には、その例を送るよう呼びかけている。

Anthropic の利用規約には、もともと「第三者の知的財産権を侵害する」使い方を禁じる項目がある。今回の変更は、規約を新しく作ったのではない。AI が依頼を受けるかどうかの判断に、この規約をはっきり反映させたものだ。

日本の利用者への影響

日本の利用者への影響は分かっていない。

気をつけたい場面は、たとえば次のようなものだ。

  • 昔のファミコンやアーケードのゲームを「そのまま」作り直したいとき。名前を変えても対象になるとされる。
  • 同人ゲームで、既存の作品の二次創作を作るとき。どこまでが「特定のゲームの再現」と判断されるかは、公表された2文からは分からない。
  • 「〇〇風のパズルゲーム」のように、ジャンルとして作るとき。Osmani 氏の説明では許されるほうに入るが、AI の判断がぶれる可能性はある。

日本の著作権法は、「思想又は感情を創作的に表現したもの」を守る。Claude Code が断ったからといって違法とは限らない。受けたからといって合法とも限らない。AI の判断は、法律の判断の代わりにはならない。

今すぐやること

  1. Claude Code で使っているモデルを確かめる。Osmani 氏が名前を挙げたのは Opus 5.5 である。
  2. ゲームを頼むときは、元になる作品名を出すのではなく、自分の考えたルールや画面、用意した素材をもとに頼む。これは Anthropic が「作れる」と説明している範囲である。
  3. 自分のオリジナル作品なのに断られたら、その例を Anthropic に伝える。Osmani 氏は、そうした例を送ってほしいと呼びかけている。
  4. 二次創作やリメイクを出すときは、AI が受けたかどうかではなく、元の作品の権利者が出している二次創作のガイドラインを確かめる。

背景

この変更の少し前から、ゲーム配信サービスの Steam に、AI で作った質の低いゲームや、既存のゲームの複製が増えているとゲーム業界の報道が伝えていた。PC Gamer によると、Steam を運営する Valve も、韓国・釜山のイベント Steam Indie Connect でこの問題を認めたという。Anthropic は、今回の変更がこの流れを受けたものとは言っていない。

報道では、AI を使って昔のゲームを作り直したり、ほかの機械に移したりする動きが増えているという。その分、作り手の権利をどう守るかが問われている。Anthropic は、規則の文言を公式の文書としては出していない。ルールの文面は利用者が投稿したもので、Anthropic 側が X で認めたのは、指示に2文を足したことである。今後も線引きは変わる可能性がある。

技術者向けの詳細
  • ルールを見つけた Chasm 氏の投稿によると、ルールは tengu_heron_brook という名前で、サーバー側から配られる設定の一つとして10月27日ごろに入ったとされる。設定で切ることはできないとされるが、Anthropic はこの点を説明していない。
  • 投稿に示されたルールの文(Chasm 氏の投稿より。Anthropic は文言そのものは公表していない):
    • “Do build original games, games in a genre, and games from the user’s own designs and assets.”
    • “Don’t build a recreation of a specific existing game, even if it is renamed or called original.”
  • 対象: Osmani 氏は「Claude Code’s prompt on Opus 5.5」と書いている。ほかのモデルや、Claude のアプリ・API にも同じ指示があるかは、公表されていない。
  • 使っているモデルは、Claude Code のステータスラインか /status で確かめられる。
  • Tom’s Hardware は、ゲームと関係のないリバースエンジニアリング(できあがったプログラムを分析して仕組みを調べること)の作業も断られたという利用者の声を伝えている。アカウントが一時止められ、のちに戻ったという Reddit の書き込みもあるとされる。どちらも Anthropic は確かめておらず、今回のゲームの指示との関係は分かっていない。
  • 根拠になっている規約: Anthropic Usage Policy の「Infringe, misappropriate, or violate the intellectual property rights of a third party」の項目。
  • 時刻: Chasm 氏の投稿は 2026-10-30 07:01 UTC(日本時間 16:01)。Osmani 氏の投稿は 2026-10-30 16:58 UTC(日本時間 10月31日 01:58)。

出典

一次情報

報道

参考

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