要点
- Character.AI を動かす Character Technologies は、2026年10月12日に米国で破産を申し立て、裁判所のもとで会社を売る手続きに入った。
- 報道によると、米司法省の破産手続きの監視役は、利用者の会話が売られうるとして、プライバシーの専門家(オンブズマン)を置くよう裁判所に求めた。
- 会話が売る対象に入るかは、まだはっきりしない。気になる人は、データを書き出してから消すかを考える時期に来ている。
何が起きたか
Character.AI は、AI のキャラクターと会話できるサービスだ。親友や隣人、作品のキャラクターなど、人との関係をまねるように作られている。
Character.AI は10月12日の公式ブログで、自ら Chapter 11(米国の、事業を続けながら立て直す破産手続き)を申し立てたと発表した。目的は「裁判所の監督のもとでの会社の売却」だ。売却は11月末か12月初めに終わる見込みとしている。サービスは今も使える。会話などの情報は、今のプライバシーポリシーで守られるという。
裁判所は Delaware 州の連邦破産裁判所で、担当は Brendan Linehan Shannon 判事だ。債権届出・通知の代理人を務める Stretto の事件ページには、買い手の募り方を決める審理が10月30日 9:00(米東部時間)の予定として載っている。
The Record によると、司法省の中で破産手続きを見張る Executive Office for U.S. Trustees が、10月27日(火)に書面を出した。書面はポリシーを「あいまい」とし、少なくとも一部の利用者の会話履歴が売られうると読める、と指摘している。そのうえで、売る前にオンブズマンを置くよう求めた。The Record によると、書面には、会話は共有されるのかと聞かれた Character.AI のチャットボットが「あなたのはっきりした許可がなければ、しない」と答えた例も載っている。
PPC Land が裁判資料をもとに伝えたところでは、会社はオンブズマンは要らないと主張している。破産を申し立てた日の時点のポリシーがデータの売却と移し替えを認めている、というのが理由だ。ただ会社は、資金に余裕がなく手続きを長引かせられないことから、条件しだいでは選任に同意する用意があり、U.S. Trustee と話し合っているともしている。一方で、39の州と首都 Washington D.C. の司法長官もオンブズマンが要ると申し立てた、と報じられている。
最初の買い手の候補は Disney だと報じられている。PPC Land と KQED によると、Disney の2,000万ドルの提案は技術の使用許可を買うもので、利用者のデータと会話は入っていない。一方で PPC Land によると、会社は10月27日の書面で、資産はまとめてでも別々にでも、すべて売りに出していると述べている。10月30日の審理が開かれたか、判事がどう判断したかは、一次情報ではまだ確かめられていない。
日本の利用者への影響
日本の利用者数を示す一次情報は見つからなかった。The Record によると、世界の月の利用者は約1,200万人で、1日に平均2時間ほど使われている。
手続きは米国の裁判所で進み、売るときはこの会社のプライバシーポリシーが基準になる。日本の利用者の会話も同じ会社のサーバーにあれば、同じ売却の流れに乗りうる。
今すぐやること
- 残したい会話を書き出す。 Character.AI は、アプリかウェブで自分のデータを書き出せると案内している。KQED によると、ヘルプには、届くまで3〜4週間かかり、ダウンロードのリンクは7日で切れると書かれている。早めに申し込みたい。
- 消すなら、書き出しが届いてから。 KQED は、Common Sense Media の Robbie Torney 氏が「書き出してから消す」順を勧めたと伝えている。
- 有料の定期購入は自分で確かめる。 公式ブログによると、定期購入は今も続いていて、請求も今のところ変わらない。やめたい人は、自分で解約の手続きを確かめる。
- 人に知られたくない話を、これ以上書き込まない。 売却が決まるまでは、だれが会話を引き継ぐか分からない。
- 家族が使っているなら声をかける。 未成年の会話の扱いは、司法省も州も特に心配している点だ。
背景
米国の破産法には、個人データの売却を止める仕組みがある。売らないと約束したポリシーがある会社は、データを自由に売れない。ポリシーに合う売り方か、オンブズマンを置いて裁判所が認めた売り方に限られる。オンブズマンは、利用者が失うものや別の道を調べ、裁判所に伝える役だ。
似た例に、2025年3月に破産した遺伝子検査の 23andMe がある。このときも、顧客の遺伝子データが資産として売られることが大きな問題になった。AI との会話は、日記に近い私的な中身をふくみうる。だから今回は、さらに重く受け止められている。
技術者向けの詳細
- 事件: In re Character Technologies, Inc., Case No. 26-11603 (BLS), U.S. Bankruptcy Court for the District of Delaware。申立ては2026年10月12日
- 資料: 債権届出・通知の代理人 Stretto の事件ページ(cases.stretto.com/chartech。公式ブログが案内している)。報道によると、入札手続きの申立ては Docket No. 15、U.S. Trustee の異議は No. 69、会社の反論は No. 73、司法長官の加わりは No. 79・80
- 入札手続きの審理: Stretto のページでは10月30日 9:00(米東部時間)の予定。PPC Land は午前10時としている
- 根拠の条文: 11 U.S.C. §363(b)(1)(個人データの売却の制限)、§332(オンブズマンは売却の審理の7日前までに置く)
- 報じられた予定(未確認): 入札の締め切りは11月20日、競売は11月23日、売却の審理は11月24日
- 利用者数は資料によって違う。CEO の宣誓書では約1,200万人。PPC Land は、最初の申立てに「現在と過去で約1億6,300万人」とあると伝えている
- 債権者の集会(§341): 11月19日 13:00(米東部時間)、Zoom
- 問い合わせ先: CharTechInquiries@stretto.com