注意まだ起きていない

SMS1通で Android が落ちる欠陥、攻撃コードが公開

細工した SMS を1通受け取るだけで Android の電話機能が落ち、何度も届くと再起動が止まらなくなる欠陥が公表された。2026年10月のパッチで直ったが、Android 12・13 には修正が出ないとされる。確かめ方と対策をまとめる。

要点

  • 細工した SMS が届くだけで、Android の電話機能が落ちる欠陥が公表された。操作は何もいらず、メッセージも画面に出ない。
  • 何通も届くと、再起動が止まらなくなる。通話中なら、緊急通報も切れることがあるとされる。
  • 2026年10月のセキュリティパッチで直ったが、Android 12 と 13 には修正が出ないと研究者は書いている。

何が起きたか

研究者の Mark B 氏が10月29日、Android の欠陥を「SMS of Death」と名づけて報告を公開した。攻撃を試すためのコード(PoC)も、GitHub で公開されている。

報告によると、仕組みはこうだ。形のおかしい特別な SMS を Android が受け取ると、電話機能を受け持つプログラムが落ちる。このとき、メッセージは受信箱に入らない。だから持ち主は、なぜ落ちたのか分からない。

1通で圏外になるのは1〜2秒だけだ。ただし、そのとき通話中なら電話は切れる。緊急通報でも同じだとされる。

もっと困るのは、何度も落ちることだ。読み切れなかったメッセージは端末に残り、起動のたびに読み直される。携帯会社が送り直すこともある。研究者は、20通ほどで端末が長いあいだ使えなくなるとしている。Android には、落ち続けると自分を守るために回復用の画面へ再起動する仕組みがある。報告では、これが約90秒ごとに起きた。BleepingComputer の記事では、試した Android 12 の端末1台が初期化しないと直らなかったという。

研究者によると、報告から修正までの流れはこうだ。

  • 2026年5月5日: Google の脆弱性報奨金制度に報告した
  • 6月15日: Google の技術者が修正を書いた(修正コード)
  • 10月: Android 14〜17 向けのセキュリティ更新で修正が配られた
  • 10月29日: 報告を公開した

報道では CVE-2026-58882 という番号が使われている。ただ、Google の2026年10月のセキュリティ公告にこの番号は載っていない。番号は未確認である。

日本の利用者への影響

Android は日本でも多くの人が使っている。研究者は、Android 12 から 16 で欠陥が起きるのを確かめたという。Pixel 9 や Samsung の Galaxy など、複数のメーカーの機種で試したとしている。

日本で被害が出たかどうかは分からない。日本の携帯会社が、この SMS を途中で止めているかどうかも分からない。

被害は「端末が落ちる・使えなくなる」までだ。研究者の報告には、データを盗む、端末を乗っ取るといった話は出てこない。ただ、緊急通報が切れうる点は軽く見ないほうがよい。

今すぐやること

  1. パッチの日付を見る。 設定アプリの「デバイス情報」→「Android バージョン」で、「Android セキュリティ アップデート」の日付を確かめる(Google のヘルプによる。機種によって名前は少し違う)。研究者によると、2026年10月以降なら修正済みだ。
  2. 古ければ更新する。 「システム」→「ソフトウェア アップデート」から更新する。届く時期はメーカーや携帯会社で違う。終わったら再起動する。
  3. Android 12・13 の端末は買い替えを考える。 研究者は、修正が出ないとしている。メーカーのサポートが切れた機種も同じだ。仕事や緊急連絡に使う端末なら、早めに替えたい。
  4. 再起動が止まらなくなったら、すぐ初期化しない。 研究者は、回復画面で「wipe data」(データを消す)を選ばないよう勧めている。パソコンからメッセージだけを消す方法が見つかっている。職場の IT 担当や修理窓口に相談するとよい。

背景

細工したメッセージ1通でスマホが落ちる欠陥は、これまでも何度か見つかってきた。受け取っただけで起きるので、持ち主には防ぎようがない。

今回の欠陥は、届いたデータの長さの値を確かめずに使ってしまったことが原因だ。修正では、読めないメッセージが来ても落ちずに、そのメッセージを消すようにした。

もう一つの問題は、古い機種だ。Google がセキュリティ更新を出すのは、新しめの Android だけである。Android 12・13 は同じコードを使っていても、修正が届かないと研究者は書いている。Android 端末は、何年か経つと更新が止まる。そのまま使い続けると、こうした欠陥がずっと残る。

研究者は、オーストラリアの話にも触れている。オーストラリアでは、緊急通報ができない端末を携帯会社が見つけて、放っておくと止められることがあるという。

技術者向けの詳細
  • 落ちる場所: frameworks/opt/telephony の WapPushOverSms.decodeWapPdu。WAP Push の中のヘッダー長が範囲を確かめずに符号付き32ビットの数になり、NegativeArraySizeException で com.android.phone が落ちる(BleepingComputer の説明と研究者の報告)。
  • 修正: コミット 735d9672603fa206c4b43cb668c1aa273db70b97「Fix remote DoS in decodeWapPdu (b/517376969)」。作成は2026-06-15、マージは2026-08-05(米太平洋時間)。WAP PDU を読むときと配るときの RuntimeException を捕まえ、raw テーブルから問題のメッセージを消す。CVE 番号はコミットに書かれていない。
  • 公告: 2026年10月の Android セキュリティ公告(10月5日公開、2026-10-01 のパッチレベル)には、この件の CVE は見当たらない。研究者は「October 2026 security release」で Android 14〜17 が直ったとしている。
  • 対象: 研究者は Android 12〜16 で再現を確かめた。12・13 には修正が出ないとしている。
  • PoC: 公開済み。
  • パッチレベルをまとめて調べるとき(ADB):
adb shell getprop ro.build.version.security_patch
adb shell getprop ro.build.version.release
  • MDM(会社の端末をまとめて管理する仕組み)を使っているなら、パッチレベル 2026-10 より前の端末と、OS が 13 以下の端末を一覧にしておくとよい。
  • 再起動が止まらなくなった端末から、残ったメッセージを ADB で消す方法がある。研究者のページで、@sakisdog 氏の方法として紹介されている。手順は研究者の報告を見てほしい。

出典

一次情報

報道

参考

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