情報被害の話ではない

Android、登録した他社ストアなら確認画面なしで入れられるように

Google は12月1日から「Registered App Stores」を始める。登録した他社ストアは、確認画面なしのワンタップでアプリを入れられ、更新も自動になる。対象地域に日本も入る。何が変わり、何を確かめればよいかをまとめた。

要点

  • Google は2026年12月1日から、審査を通った他社のアプリストアなら、確認画面なしのワンタップでアプリを入れられる仕組みを始める。
  • 対象は Android 17 QPR2 以降の端末で、Google の FAQ によると、対象の地域に日本も入っている。
  • 手軽になるぶん、「登録されたストアか」「誰が作ったアプリか」を自分で確かめることが大事になる。

何が起きたか

Google は、Android の新しい仕組み「Registered App Stores」(登録アプリストア)の詳しい中身を、開発者向けのページで公開した。Google Play 以外のアプリストアのうち、Google の審査を通ったものを「登録ストア」として扱う。

変わるのは、利用者が「はい」を押す回数だ。いまの Android で Google Play 以外のストアを使うと、最初に設定画面で許可を出すところから始まり、アプリを入れるときも更新するときも、そのつど承認を求められる。Google の概要ページの比較では、登録ストアならこうした操作がほぼ要らなくなる。アプリはワンタップで入り、更新も利用者の設定に沿って自動で届く。

警告や確認の画面が出なくなる条件は、次のとおりだ。

  • ストアが Google の審査を通り、登録ストアになっている
  • 端末が Android 17 QPR2 以降
  • 利用者の Google アカウントの「住んでいる国」が対象の地域

アカウントの国を変えれば、使える機能もそれに合わせて切り替わる。一方で、対象外の国へ一時的に出かけるだけなら、ワンタップのインストールや自動更新は止まらないと FAQ は説明している。米国はいまの対象に入っておらず、Google は3月の発表で「裁判所の承認しだい」で米国にも広げるとしていた。

Google が登録ストアに求めることは、大きく3つに分けられる。

1つめは、運営者がはっきりしていること。個人ではなく組織として登録し、Google の開発者の本人確認を通す必要がある。参加には年1万ドルの登録料がかかり、審査を始める前に払う(登録手順のページ)。

2つめは、利用者から見て分かりやすく動くこと。要件のページは、アプリの一覧に作った会社の名前や連絡先を載せること、入れたアプリを同じ画面から消せるようにすること、問い合わせの窓口を置くことを求めている。利用者の同意なしにアプリを入れることや、OS の安全の通知を隠すことは認められない。

3つめは、危ないアプリを並べないこと。ストアのアプリ本体も、並べたアプリも、すべて Google のマルウェア(悪さをするソフト)の検査に回す。それでも、何を並べるかを決め、その責任を負うのはストアの側だ。Google は登録ストアの中身を審査しないと、要件のページは明記している。有害の可能性があるアプリが一定の割合を超えると、Google は追加の料金を求める(割合は下の詳細に書いた)。

日本の利用者への影響

Google の FAQ の対象地域の一覧には、日本が入っている。日本で Android を使う人は、12月以降、条件のそろった端末で登録ストアを使えるようになる。

ただし、すぐに広がるとは限らない。土台になる Android 17 QPR2 は、まだ開発の途中だ。リリースノートに並ぶのは試験版(ベータ)で、最新は10月16日の Beta 7.1。一般向けの公開の時期は示されていない。対応する端末が届くまで、多くの人の体験は変わらない。どのストアが登録するかも、まだ分からない。

日本では、スマホソフトウェア競争促進法(スマホ新法)が2025年12月18日に全面施行された。Google はこの法律で規制の対象に指定されており、法律は他社のアプリストアに道を開くことを求めている。今回の仕組みがこの法律に応えるものかは、Google の発表には書かれていない。Google は3月の発表で、Epic Games との争いを世界中で解決したと述べている。

今すぐやること

  1. 他社ストアから入れるときは、そのストアが本物かを確かめる。ストアの名前をまねた偽のサイトや偽のストアアプリに気をつける。
  2. ワンタップで入るからといって、安全が保証されたわけではないと覚えておく。中身の責任はストアにあり、Google は中身を審査しない。
  3. アプリの説明で、作った会社の名前と連絡先、データの扱いを見る。Google は登録ストアに、これらを見せるよう求めている。
  4. 会社のスマホを管理している人は、Google の FAQ のとおり、管理の機能で登録ストアを入れられないようにできることを知っておく。社内の方針を決めておくとよい。
  5. 「登録ストア以外」から入れるときに出る警告の画面は、これまでどおり出る。読まずに進めない。

背景

Android は以前から、Google Play 以外からアプリを入れること(サイドロード)を認めてきた。そのかわり、確認の画面を重ねて、危ないアプリを入れにくくしてきた。

Google は同じ時期に、アプリを作った人の本人確認(Android developer verification)も進めている。2026年9月30日から、ブラジル・インドネシア・シンガポール・タイで、参加したストアのアプリを対象に確認を始めた。2027年からは世界に広げるとしている。今回の登録ストアは、この本人確認と組み合わせて使う作りだ。

手軽さと安全のつり合いをどう取るかは、日本のスマホ新法の議論でも焦点だった。法律も、他社のストアを妨げることを禁じる第7条に、サイバーセキュリティの確保や青少年の保護などのためなら例外を認める、というただし書を置いている。

技術者向けの詳細
  • 開始: 2026年12月1日。Android 17 QPR2 以降。可否は利用者のアカウントの国で決まる(FAQ)
  • 登録ストアの違い(概要ページ): REQUEST_INSTALL_PACKAGES を自動で付与、インストールのたびの確認ダイアログなし、裏での自動更新
  • 登録の条件: Android Developer Console の確認済み組織アカウント(個人は不可)。年1万ドル(審査の開始前に払う)。ストアの APK は外部で配るものと完全に一致させ、以後の版もすべて検査に出す
  • カタログはすべて、Google が用意する Cloud Storage のバケットに上げてマルウェア検査を受ける
  • PHA(有害の可能性があるアプリ)の基準: 30日間で、インストールの試行の1%超、またはカタログの2%超で追加の料金
  • 禁止: 黙ってのインストール、ほかのストアの妨害、OS の安全の通知を隠すこと。別の端末から始めたインストールは、自動で閉じない通知を出す
  • 今後の義務: 2027年6月1日から App Defense Alliance の MASA AL2、2027年12月1日からデータの安全性セクション
  • 管理端末: IT 管理者は管理の機能で登録ストアのインストールを止められる(FAQ)
  • 米国向けには、米国だけで使える別の仕組み「Third-Party App Store on Play」がある(FAQ)

出典

一次情報

報道

参考

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