情報被害の話ではない

Snapchat の Snap、10代の依存・うつ訴訟で陪審の前に和解

Snapchat を運営する Snap が、ロサンゼルスの州裁判所で10代の2人と和解した。訴えは、うつや摂食障害の原因は依存させる設計だというもの。条件は非公表。Meta・YouTube・TikTok の訴訟の動きと、保護者向けの機能も整理する。

要点

  • Snapchat を運営する Snap が、「依存させる設計のせいで、うつや摂食障害になった」と訴えた10代の2人と、陪審の審理が始まる直前に和解した。
  • 和解の条件は公表されていない。Snap は訴えの中身を認めていない。
  • アメリカでは SNS の会社が同じような訴訟を何千件も抱えている。Meta と YouTube には、すでに賠償を命じる評決が出ている。

何が起きたか

ロサンゼルスの州裁判所では、SNS が子どもの心に与える害をめぐる多くの訴訟を、まとめて扱っている。その中から、ほかの訴訟の見通しを立てるための「試しの裁判」(ベルウェザー裁判)がいくつか選ばれている。今回はその2つ目にあたる。

原告は、イリノイ州の16歳とミシシッピ州の18歳の2人だ。報道によると、2人は YouTube を3歳ごろから、ほかの SNS を9歳ごろから使い始めた。訴えによると、自動で次の動画を流す機能や、終わりなく流れ続ける画面のせいでやめられなくなった。それがうつ、不安、摂食障害の原因になった、または悪化させたという。

2人は以前に Meta、TikTok、YouTube と、内容を明かさない形で和解していた。Meta は10月30日(米国時間)に、残っていた1人とも和解した。これで被告は Snap だけになった。陪審員を選ぶ手続きは10月28日に始まっていた。冒頭陳述は11月4日に予定されていたが、その前の11月2日(日本時間3日)に Snap も和解した。Snap の CEO の Evan Spiegel は、法廷で証言する予定だった。

Snap の広報は、双方が「友好的な形でこの件を解決できたことを喜んでいる」とコメントした。安全のための仕組みや使い方の手引きを作ってきたとも述べた。原告側の弁護士は、SNS の会社に責任を取らせる目標に向けて、和解は前進だという趣旨の声明を出した。

日本の利用者への影響

今回の裁判はアメリカの州裁判所のもので、日本の利用者に直接の影響はない。和解の条件も公表されておらず、Snapchat のアプリが日本で変わるかどうかは分からない。

ただし、訴えで問われた仕組みは日本の子どもも毎日使っている。自動で次を再生する機能や、終わりなく流れる画面などだ。Snapchat の利用規約では、使えるのは原則13歳以上だ。

今すぐやること

  1. 子どもが使っているアプリと、登録した年齢を確かめる。
  2. Snapchat なら「ファミリーセンター」を使う。 Snap の説明では、保護者は子どものメッセージの中身を読まずに、最近のやりとりの相手や新しい友だちを見られる。センシティブな内容の制限や、AI チャット(My AI)が返事をしないようにする設定もできる。子どもの承認が必要なので、親子で話して始める。
  3. YouTube は、Google の「保護者による管理」を使う。 13歳未満の子どもには管理用のアカウントを作れる。見られる動画の範囲を選べ、コメントや投稿などの機能が制限される。
  4. スマホ自体の時間制限も組み合わせる。 iPhone のスクリーンタイムでは、ゲームや SNS など、アプリのカテゴリ別に使える時間の長さを制限できる。
  5. 気分の落ち込みや食事の変化に気づいたら、アプリの設定だけで済ませない。 学校や医療機関、地域の相談窓口に早めに相談する。

背景

SNS の会社は、若い利用者をとりこにするよう意図して設計したとして、個人、学区、自治体などから何千件も訴えられている。会社側はどれも否定している。

ロサンゼルスの最初の試しの裁判では、2026年3月25日に陪審が Meta と YouTube に過失があったと判断し、20歳の女性に合わせて600万ドルの賠償を命じた。Snap と TikTok は、その裁判の前に和解していた。報道によると、Meta はこの評決を受け入れず、争う姿勢を示している。

州の司法長官(州の法務のトップ)が起こした訴訟では、Meta が8月26日にほぼすべての州と和解した。Meta が SEC(アメリカの証券の規制当局)に出した書類によると、支払いは最大で約185.9億ドルになる。18歳未満向けの機能も変える。支払いの一部は、TikTok や YouTube が同じような和解をするかどうかで決まる、と報じられている。

原告側の弁護士によると、次の試しの裁判は3月に予定されている。

技術者向けの詳細
  • 手続き: カリフォルニア州ロサンゼルス郡上級裁判所の、SNS 依存訴訟をまとめて扱う手続き(JCCP 5255、Carolyn B. Kuhl 判事)。報道によると、判事は今回の2人の訴えを1つの裁判にまとめていた。
  • 連邦裁判所にも、同じ種類の訴訟をまとめた手続き(MDL)が別にある。
  • 訴えで挙がった機能: 自動再生、無限スクロール。州の司法長官による Meta への訴訟では、アルゴリズムで選ぶフィードも挙がっていた(CNN の報道)。
  • 今回の和解: 原告2人(イリノイ州16歳、ミシシッピ州18歳)。Meta・TikTok・YouTube とは先に和解。Meta は10月30日に残る1人と和解。Snap は11月2日(米国時間)に和解。条件は非公表。
  • 最初の評決(2026年3月25日): Meta と YouTube に過失。賠償は合わせて600万ドル。Meta の 10-Q によると、配分は Meta が70%、YouTube が30%。
  • 州との和解(Meta、2026年8月26日): Meta の 2026年第3四半期 10-Q によると、相手は52の司法長官で、最大で約185.9億ドル。その約70%(約127億ドル)は分けて支払う。フロリダ州、ニューメキシコ州、米領バージン諸島は含まれない。
  • Snapchat ファミリーセンター: 保護者と子どもがそれぞれアカウントを持ち、友だちになったうえで、保護者が招待し、子どもが承認する。最近の会話の相手、7日以内に増えた友だち、位置情報の共有(Snap Map、Place Alerts)、センシティブな内容の制限、My AI の返事を止める設定。メッセージの中身は見られない。
  • YouTube の「保護者による管理」: 13歳未満の管理用アカウントが対象。コンテンツ設定で見られる範囲を選ぶ。ショート動画、コメント、アップロード、ライブ配信などが制限される。日本でも使える。

出典

一次情報

報道

参考

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