要点
- ドール用品のアゾンインターナショナルが、自社の通販サイト「AZONET」を閉じ、ファンクラブの会員システムも終えると告知した。
- 理由としてアゾンは、サイバー攻撃の危なさを考え「個人情報を可能な限り社内システムに保管しない」方針にしたと書いている。
- 日本では漏えいが続いており、物語コーポレーション(焼肉きんぐ)のように、客から預かる個人情報を減らすと発表した会社がほかにもある。
何が起きたか
始まりは、メールマガジンを送る外部のサービスだった。アゾンは2026年10月23日、メールマガジンの配信に使っていた「ブラストメール」(ラクスライトクラウドが提供)に第三者が不正にアクセスし、登録していた客のメールアドレスが外に漏れたと発表した。
漏れたおそれがあるのはメールマガジンのメールアドレスで、AZONET の会員情報や支払いの情報は含まれない、とアゾンは説明している。自社のシステムが侵入された形跡も無いとしている。何人が当たるかは調べている途中で、分かった人には一人ずつメールで知らせるとしていた。
続いてアゾンは、10月26日の17時から「セキュリティ強化の予防的措置」として、公式サイトと問い合わせフォームを止めた。この告知は10月28日付けで出て、11月6日に書き足された。書き足した内容は次のとおりだ。
- 公式オンラインショップ AZONET は閉店する。いま受けている注文の商品を送り終えた時点で閉店とし、具体的な日付は書かれていない。
- ファンクラブの会員システムは終える。持っているポイントは、同じ額の金券にして渡す予定だ。くわしくは会員に個別のメールで知らせるという。
- これからの購入先として、「アゾンレーベルショップ楽天市場店」を案内している。
閉店の理由について、アゾンは告知の中で、サイバー攻撃のリスクなどを踏まえ、客の個人情報を「可能な限り社内システムに保管しない方針」にしたと書いている。
日本の利用者への影響
影響を受けるのは、AZONET で買い物をしていた人、ファンクラブの会員、メールマガジンの登録者だ。
- 注文が残っている人: アゾンは、送り終えるまで対応するとしている。問い合わせは専用のメールアドレスあてに、名前と AZONET の注文番号を書いて送るよう求めている。
- ファンクラブの会員: ポイントは金券に替わる予定だ。いつ発行するかは、まだ書かれていない。
- 登録した個人情報: AZONET やファンクラブに登録した氏名や住所などを、いつ・どう消すのかは、11月6日の時点の告知には書かれていない。
- メールマガジンの登録者: メールアドレスが漏れた可能性がある。アゾンは、アゾンを装った怪しいメールに注意するよう呼びかけている。
今すぐやること
- AZONET で注文中の人は、注文確定メールを残しておく。 アゾンは問い合わせに注文番号を書くよう求めている。番号が分からなければ、予約した商品名を書くよう案内している。
- ファンクラブの会員は、アゾンからの個別のメールを待つ。 金券の案内はメールで来る予定だ。届いたら、送り主のアドレスや内容をアゾンの公式ニュースのページと見比べてから開く。
- アゾンを名乗る怪しいメールのリンクや添付は開かない。 アゾンが呼びかけている注意だ。メールアドレスが漏れた人には、本物に似せた偽のメールが届くことがある。
- 登録した個人情報の消し方が気になるなら、アゾンに問い合わせる。 告知に消す時期の記載はまだない。今後の告知も確かめておく。
- AZONET と同じパスワードをほかで使っていたら、変えておく。 アゾンは AZONET の情報は漏れていないとしているが、使い回しをやめておけば、どこかで漏れたときの被害を小さくできる。
背景
ブラストメールの件では、自治体も発表を出している。東京都は、都の政策連携団体の委託先が使っていたブラストメールから、東京広域援農ボランティア事業の生産者やボランティア参加者の個人情報が漏えいしたことが判明したと発表した。長野県は、県のメールマガジンへの登録依頼フォームに入力された個人情報が漏えいした可能性があるとしている。自分の会社が守りを固めても、メールの配信のような外に任せた仕事から情報が漏れることがある、という例だ。
似た判断は、外食の大手でも出ている。焼肉きんぐを運営する物語コーポレーションは10月5日、公式アプリの会員の情報1078万8963件が漏れたと発表した。10月20日に出した強化策では、グループの公式アプリ11本で持つ個人情報を減らし、2027年上半期の予定で新しいシステムに移すと決めた。移ったあとは、氏名と電話番号を保持しない。メールアドレスは予約の機能などのために取り続けるが、将来はそれも保持しない仕組みに向けて開発を進めるとしている。
持っていない情報は漏れない。客の情報を守るための費用や手間が大きくなるなか、そもそも持たない道を選ぶ会社が出てきた形だ。その一方で、自社の通販をやめれば、販売は大きなモールに頼ることになる。客にとっては、情報を預ける先が自分の選んだ店からモールに移ることでもある。
技術者向けの詳細
- アゾンの漏えいの告知(2026年10月23日、同日17時更新): 漏れたのはブラストメールに登録したメールマガジンのメールアドレスのみ。AZONET と問い合わせフォームの登録情報は対象外。自社システムへの不正なアクセスは「確認されておりません」。
- サービスの停止: 2026年10月26日17時から、公式サイト・問い合わせフォームを止めてメンテナンスしている。
- 閉店の告知(10月28日付け、11月6日更新): AZONET は今ある注文の発送を終えた時点で閉店。ファンクラブの会員システムは終了し、ポイントは金券に替える予定。注文やサポートの問い合わせは告知に書かれた専用アドレスあて。
- ブラストメールの件: 東京都は、提供元のラクスライトクラウドから「一部の契約者の配信先リスト等の漏えいが確認された」との報告を受けたと発表した。都が伝える提供元の説明では、侵入されたのは API 用のサーバーで、販売管理システムとサービスのデータベースのデータが持ち出された。漏えいの範囲は調査中とされる。くわしい内容は、提供元の発表を確かめること。
- 物語コーポレーション(10月20日の発表): 対象は焼肉きんぐを含むグループの公式アプリ11本。2027年上半期の予定で、氏名と電話番号を持たない新しいシステムに移る。メールアドレスは当面集め続ける。
- 自分の組織で見直すとよい点: 外部に任せた配信のサービスに渡している名簿の中身と量、使わなくなった会員情報を消すきまり。個人情報を持たない設計(データ最小化)を考える材料になる。

